賃貸契約の特約事項について

※本記事は前提として、国土交通省住宅局が発行している『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版 H23.8)』を手元に置いてください。

賃貸契約上に、特約として経年劣化について退去時に敷金から支払う旨が書いてあっても無効

これはまずその前提として、経年劣化については賃貸人、つまりは物件の所有者が修繕すべきであり、

貸借人、つまり借りている人は支払い義務は無いという原則がある。これはガイドライン8ページ、原状回復の定義、による。

それによると、原状回復とは、

『貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること』

となり、また、7ページに紹介のある最高裁判例でも、

『建物の賃貸借においては、貸借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する

通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより

行われている。』とある。

通常の賃貸契約において、上記前提を否定できるような【特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在する】場合というのは通常極めて少ないと思われる。

また、ハウスクリーニング特約については、特に制限を受けず、常識的な範囲では特約があれば支払いが発生するものと思われる。